自分の名字遍歴で思うこと
最近ニュースで、夫婦別姓についての記事をよく目にする。
午後には最高裁の判断が出るらしい。
姓、家、家族、世帯について、私の経験から思うところを。
私には、どうしようもない親に振り回されて2回(あやうく3回)も名字が変わったという経験と、最近結婚して結果として自分が「夫の氏」を選んだ経験とがある。
サトウ(仮):パパ上(実父)の名字。出生時はこれ。
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スズキ(仮):母親の旧姓。私が幼きころに離婚してこれになる。
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タカハシ(仮):セカンド親父(再婚相手)の名字。あまり間を開けずに再婚した。結局また離婚。父違いの兄弟がいたからか、この後長らくタカハシを名乗ることになる。
→タナカ(仮):再々婚相手の名字。年齢のおかげで免れる。
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イトウ(仮):配偶者の名字 new!!
タカハシ(仮)と離婚したときの「私は私の実父の名字に戻したい」という希望は叶わず。
大人になってから調べてみても、実父の名字に戻すのは簡単なことではなかった。
理不尽さを噛みしめながら自分と関係のないタカハシ(仮)を使い続けた。
家族とはとにかく縁を切りたくて、連絡を絶ち、引っ越し、分籍もやった。
親子の絶縁は法的にできないみたいだけど。
戸籍取り寄せればどこにいるかも(書類上は)分かるしね。
私には呪いでしかない、親の特権と家族という単位。
母親との関わりは、正直ご勘弁願いたい・・・
結局家を出て、生きていくため当然働く。
働いているうちに、親しみを込めた「タカハシちゃん」、「PCのことならタカハシさんに聞けばいいよ!」、「○○課のタカハシさん」みたいに、キャリアを積み重ねていく中で私という人物やスキルは名字に紐付けられていった。
複雑な思いがないわけではないが、「私という人間を指す、業務上都合のいい記号なのだ」と思うようになった。
運転免許証には「タカハシふぇぶ」と記載されているし、銀行口座だって「タカハシふぇぶ」。
市役所に行けばタカハシ(仮)さんだし、住民票も戸籍も「タカハシふぇぶ」。
(私はこれからずーっとタカハシ(仮)さんなんだな・・・)と思っていた。
それまでの人生の経験の結果、「絶対に結婚などしない」と心に誓っていたから。
けれど、紆余曲折あって、今の旦那さんと結婚した。
他の誰よりも気が合い、趣味が合い、価値観が合い、息が合うから。
長きにわたる交友関係でお互いのこともよく分かっていたから。
入籍にあたって、悩んだ。
あれだけ捨てたかったタカハシ(仮)は、捨て難いキャリアに紐ついてしまっている。
免許証も銀行口座も保険も資格証書もぜーんぶ、である。
家族主義のアイツ(旦那さん)は、
「イトウ(仮)家にくるってことだからさ!うちはもう家族だから」
と悪意のない笑顔で言うけど、そうじゃねえ。
結婚っていうのは、二人で新しい戸籍を作ること!おまえの家に入るわけじゃねえ。
とはいえ、古くからある日本的な考えだしね・・・
お嫁に行く、とかお嫁さん(お婿さん)をもらう、とかそういう表現もあるし。
姻族という言葉もあるし。
現行法ではどちらかの名字を選ばなければ入籍できないし、どうせ生涯にわたって名乗るのなら好きな理由のある名字を選ぼうと思った。
「恋人」とか「彼氏」みたいな甘い言葉よりも、「相棒」とか「片割れ」とか「ベストコンビ」とか、あるいは「悪友」みたいな言葉がぴったりな、相手の名字(平凡)・・・
私にとって関係のない継父の名字を捨てるのに一番簡単な手段でもある。
「二人で新しい戸籍を作るってことだから!」と何度も主張したうえで、配偶者の名字を選択した。「夫の氏」にチェック。
正直申し上げて、名字を変える手続きはとても手間だった、いや、まだ終わってないから現在進行形で。
・はんこの作り直し。「おまえの名字にするんだからな!」と主張して、チタンで作ってもらった!w
・免許証が旧姓併記できるようになった!名字変更もろもろ楽そうだからって理由で併記してもらったけど、警察署側が慣れてなくて二度手間に。しかも行政も「こういう免許証は見たことがないのですが・・・」とか言われる始末。先は長い。
・銀行口座、クレジットカードとかの再発行。旧姓が分かる住民票を用意しなきゃいけない。
・保険名義とか、光熱費の契約名義の変更。名義っていうか私は私なのに。
・車とバイクの名義変更。車を最近買い替えたけど、戸籍から必要になっちゃって手間だった。今思い出したけどバイクはまだ変えてなかった。
・パスポートはまだそのまま。結婚する気がなかったから旧姓のまま10年で作っちゃったんだよお。コロナで新婚旅行どころではなかったしね・・・
・資格証書の再発行。紛失したわけじゃないのに。
余談だけど、某ピザ屋のDMの宛名は、会員情報変更しても変わらない。
お店に連絡→本社に連絡→DBの修正なんだって。
どういう管理してんだよ。別々で提供した覚えないしDB構成のセンスがないと思うんだけど、割とこういう運用してるんだろうか。
先日まで在籍していた職場では、旧姓で仕事をさせていただいた。
せっかく「ITのタカハシ(仮)さん」として広く認識してもらってたのに、捨てたくなかったから。
おかげでいまだに「お世話になりますタカハシ(仮)ですぅ~」ってフレーズに慣れてて、「イトウ(仮)ですぅ~」って言いにくい。
今回の場合、派遣だったしコロナ禍でロストジョブしてしまったからどのみちリセットされてしまったけど、ここ以前の職場でも親交ができていまだに続いている仕事関係の人もいるし、名字が変わるのはキャリア的に不利だなあと思う。
でも、行政的な管理や手続き等を考えると、家単位、いわゆる世帯、そしてそれを識別しやすい名字という記号が便利だったのも事実だと思う。
明治時代に国民全員に名字を持たせたのはそういう理由だろうし、家父長制という考えでやってきた国だから。
世帯単位、というのも面倒だな・・・と思ったのが、国民健康保険。
仕事が見つかればすぐに働きたいのと失業手当を受けるために配偶者の扶養に入らず、国民健康保険に加入する必要があったんだよね。
これって世帯単位らしく、うちの場合は世帯主が配偶者だから、この世帯主が課税対象なんだって。私が加入するのに。
引き落とし口座も最初はこの「配偶者の口座」って言われて、なぜ「私」が加入するのに「世帯主」に支払い義務があるの?と疑問に思った。未成年じゃあるまいし・・・
市役所職員の方に聞いても、イマイチ理解できなかった。
うちの旦那さんの年末調整に私の国保の金額が載るのかも。変なのー。
行政とか法律関係を勉強すると、理解できるんだろうか。
別姓を認めるとなれば、行政の仕組みも大きく変える必要が出てくるんだろうね・・・今の日本にできるのかな・・・
マイナンバーってやり方自体は悪くないと思うけど、日本はIT後進国だからなあ・・・かなり不安。
できればマイナンバーには、健康保険だけじゃなく運転免許証や国家資格、車検証なんかも紐付けてほしいなあ。民間資格や保険も紐付けられればもっといいんだけど。名字変更的な意味で。今回の手続きをした感想です。
基本スタンスは、みんながそれぞれ好きなようにしたらいいじゃーん?という個人主義。
だけど、話が大きすぎて簡単には「賛成or反対」と言えなかった。
名字、苗字、姓、氏の違いって何?と調べたらよいページが出てきました。
(名字はこのページを参考にしました)
全国名字(苗字)ランキング|名字検索No.1/名字由来net|日本人の苗字・姓氏99%を掲載!!