夏の足音と梅雨明け
ニュースでは続々と梅雨明けを報じている。夏の到来である。
先日、売土地情報を見つけて仕事帰りの夫と下見へ行った。
通り雨が過ぎてうっすら霧が出ていたけど、現地に着くころには霧も引いて視界が確保できた。
目的の土地は割と平坦で古屋もあるから、家を建てることは問題なさそう。
木がたくさん生えてしまっているのと、立地的に日当たりがちょっと心配かも・・・
そろそろ日が沈むな、と思って気づいたのは、ひぐらしの鳴き声。
静かな森の合間にまばらに建つ家々と、日没の薄暗さと、雨上がりの湿気と土の匂い。響くキキキキキキ・・・
これを聞いて、夏はもうすぐそこだな、と思った。
7月20日前後が近づくと、にわかに色めき立つ。
「夏休み」のシーズン開幕だからである。
学校というものを卒業してもう何年経つんだよ、と思うけど、いまだにである。
高校生のときには、夏期講習で結局休みではなかった。働き出せばあれほど長期の夏休みなどないし、フリーター時代は3連休すらなかった。
そもそも夏の暑いのがいやで、大したいい思い出もすばらしい記憶もないけど、あの夏休みの特別感は忘れられない。
学校へ行かなくていい開放感。ゆっくり休んでいられる安心感。好きなことができる喜び。
宿題に追われながら夏休みが終わるころ、夕暮れの中で聞こえてくるのは、やっぱりひぐらしの鳴き声・・・
夏を挟んだ梅雨時~秋の始めまで、いつ聞いてもしっくりくるひぐらし。
ひぐらしの鳴き声は秋の季語らしいけど、夏も秋も、時期によってちゃんと聞き分けられる。
よかった。私の感性はまだ死んでないらしい。
知覚する夏の足音。この小さな小さな町で幾度となく経験している。
ここに帰ってくるのか。